戦国武将に学ぶリーダーシップ

【武将】第20話 資質

石田三成殿をどう思われる?豊臣家を滅ぼした元凶のように言われることが多いが、わしはそうは思わん。むしろ加藤清正殿や福島正則殿のほうが元凶じゃろうて。

まあ、詳しくはいずれ語ろうかの。

今日はその三成殿の話じゃ。
関ヶ原の戦いに敗れ、囚われの身となった三成殿。その最期に臨んで喉が渇いた三成殿は、警固の者に白湯を
所望された。

湯はないが、干し柿ならあるのでそれを召されよ、と言われた三成殿であったが、体に悪いからと断わられた。

せっかくの好意を無にされたことの腹立ちと、これから首を刎ねられる者が体に悪いからと言うおかしさとで
あざ笑う警固の者に対して三成殿は、

「お前たちごとき者であれば、おかしいと思ってももっともであろう。されど大義を思う者は、首を刎ねられる
その瞬間まで命を大切にして、己の志を達成しようと思うものだ」

と言ったそうじゃ。

人が何ごとかを成し遂げるための最初の第一歩は、“思う”ことから始まるのじゃ。結果はすべてその者の
意志・思いから生まれるのじゃ。

三成殿は残念ながら志半ばにして世を去られたが、それでも強い思いがあったればこそ、実力には雲泥の差が
あった家康殿と互角に渡り合えるだけの一大勢力を築き上げることができたのじゃ。

リーダーに求める“資質”というものを考えた場合、貴殿は何を思い浮かべられる?

素直、誠実、首尾一貫性がある、明るい、元気、先見性、懐が深い、視野が広い、仕事ができる、リスクをとれる、
逃げない・・・など、おそらくほとんどの者が同じようなことを思い浮かべるのではなかろうかの。

それらをよく考えてみると、どれも先天的にどうしようもないものは含まれておらんはずじゃ。男でなければならん、イケメンでなくてはならん、など、持って生まれたものであとからどうしようもできんことというのは一つも含まれておらんはずなのじゃ。

つまりじゃ、強い思い、こうありたいという強い意志があれば何とかなるものということじゃ。リーダーの資質
というのは、強い思いさえあれば、後天的にいくらでも身につけることができるのじゃ。

資質を多く備えておらぬと良いリーダーになれぬのかと言うと、決してそのようなことはない。

良いリーダーとそうでないリーダーの違いは、思うか思わぬか、ただそれだけの違いなのじゃ。

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