長谷川孝のブログマガジン

【尊徳】第16話 荒地を拓く

前話では、夜話160を引用して、ただ単に倹約するのではなく希望をもって働くことによって明るい未来を切り拓いていくことが基本であることをお話し申し上げました。

実はあの夜話160には、(後略)となっていることからお分かりのように、続きがあります。

あるいは、土地を開けといっても開くべき土地がもうない、というかもしれない。しかし私の目から見れば、どこの国もみんなまだ半開だ。

ひとは耕して仕つけてさえあれば田畑だと思っているが、湿地や乾地や、でこぼこの土地、地味劣悪の土地など、どれもこれも、まだ田畑とはいえないものだ。

全国を平均して、もう三回も開発し直さなければ、本当の田畑といえるものにならない。今日の田畑は、ただ耕作がさしつかえなくできるというだけのものなのだ。

訳注 二宮先生夜話[160] 一円融合会刊

尊徳先生は勤労の中でも、荒地を拓くことを推奨していました。

既存のものだけでは収入にも限りがあります。しかし、新しい未開の地を耕すことができればそれだけ収入も増えることになりますので、その効果は絶大なのです。

すべてのものには徳があります。荒地には荒地の徳があるのです。ものは考えようです。

荒れたままなら何の収益も生み出しませんが、それをひとたび耕して田畑にできれば、今までにない収益を生み出すことができるのです。

それが荒地の最大の徳でしょう。

翻って現代。

荒地は至るところにあるようです。

廃れていくだけの過疎地を葉っぱビジネスで高齢者が元気に働く町として甦らせた徳島県上勝町。

同じように地元では当たり前の郷土食「おやき」の活用で活性化した長野県小川村。

冬のスキーによる観光しかなかった地域に、夏のラフティングなどの体験観光を打ち出すことで通年で観光客を集める地に変貌した北海道ニセコ。

視力の良い人でもメガネをかける。ブルーライトカットで目の疲労を緩和するPCメガネが大ヒットしたJINS。

市場規模が小さく限定的と思われていたアダルトグッズ市場に風穴を開け、今や世界40ヵ国以上で販売され、累計販売数は5,000万個超。医療にも使われるTENGA。

何で最後にアダルトグッズ!?と思われるかもしれません。

ただどんなところにも荒地は存在するということを申し上げたかっただけです。

荒地を荒地とだけ見ているようなら、それは荒地でしかありません。荒地にさえ気づかなければ、それは荒地ですらありません。

「ただ耕作がさしつかえなくできるというだけのもの」のみを田畑と見るのではなく、荒地も田畑と見る発想が大事です。

いろんなところに目と意識を向けて、自分の趣味、仕事以外のところにも興味を注ぎ、なぜ?を繰り返し、偏見を持たず、何もないと思われるところにも、必ず何かがあると信じてあきらめず、出来ない理由を考えるより、どうやったら出来るかを考えていけば、未来の田畑も見えてくるかもしれません。

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