戦国武将に学ぶリーダーシップ

【武将】第3話 いざというとき

我が国では古よりたびたび発生する大地震によって甚大な被害がもたらされてきた。

豊臣秀吉公の治世においても伏見で大地震が発生しておってな。秀吉公の居城、伏見城が倒壊、圧死する者数百名に及んだそうじゃ。

この地震のときの話じゃ。秀吉公の股肱の臣、虎退治で有名な加藤清正公はある罪によって謹慎処分中だったのじゃが、
「謹慎の身で勝手に出歩くことは許されていないが、その罪を犯してでもこの大事をただ座視して見過ごしているわけにはいかぬ」
として、地震後すぐさま兵卒200を従えて秀吉公のもとに馳せ参じたそうじゃ。

我がために誰よりも早く駆けつけてきた清正公の姿を見た秀吉公は感動して清正公の罪を許し、謹慎を解いたという。

人は追い詰められたとき、危機に直面したときにその本性をあらわすものじゃ。腹の底で何を考えておるか、何を大事にしておるか、それがとっさの行動に表れる。普段どれだけ美辞麗句を積み重ねておっても、いざという時にその言葉と裏腹な行動をとったり、あるいはまったく何もしないでもダメじゃ。その時点でその者の信頼は地に墜ちる。言行不一致ほど信頼を損ねるものはない。

逆に普段から言うておるとおりの行動をとったり、あるいは普段黙してあまり語らずとも人が望む行動をとれる者は信頼を得よう。

リーダーシップにおいて、ビジネスにおいても、最も大切にしなければならぬものは信頼じゃ。信頼なくしてリーダーシップもビジネスも絶対に成り立たたん。

普段何を言うかももちろん大事じゃが、いざというときにどういう行動をとるかはもっと大事じゃ。

できぬことは言わん、言ったからにはやる。

リーダーは注目されておる。リーダーの真骨頂はいざというときに表れるのじゃ。

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