長谷川孝のブログマガジン

【武将】第13話 出会い

人と人との出会いは、時に人生を変えるほどの衝撃をその者にもたらすものじゃ。豊臣秀吉殿が天下人になれた最大の理由は?と問われれば、わしは迷わず”出会い”であると答えよう。言わずとしれた織田信長殿との出会いが、秀吉殿を天下人へと導いたのじゃ。

むろん秀吉殿が個人的能力に優れていたことは言うまでもない。じゃが、いくら能力に優れた人物であっても、その能力を遺憾なく発揮できる環境がない限り、決して良い仕事はできんのじゃ。大坂の陣における豊臣方など良い例じゃ。真田幸村殿や後藤又兵衛殿など有能な士がもそっと力を発揮できる環境が与えられておればのお。

秀吉殿もそうじゃ。信長殿に仕える前には、松下嘉兵衛殿という人物に仕えておったが、嘉兵衛殿のもとではその持つ能力を十二分に発揮することができず、ほんの数年で嘉兵衛殿の下を去っておる。

じゃが、信長殿のもとでは一変して、まさに水を得た魚のように、その持つ能力を思う存分発揮し、縦横無尽の活躍をみせるようになるのじゃ。

身分にとらわれず能力次第でどしどし仕事を割り振り、結果を出せば出世させる信長殿と、農民上がりじゃが能力があり仕事のできる秀吉殿。まさに天の巡り合わせ、運命的出会いである!・・・と言えばドラマチックじゃが、そんな偶然に頼っているようでは、良い出会いは訪れん。

秀吉殿も信長殿もそれぞれ自ら求めたのじゃ。自らの意志で信長殿のような人物、秀吉殿のような人物との出会いを求めたのじゃ。ただ日々なんとなく特に何もすることなく過ごしておったところ、偶然声がかかった、偶然声をかけられたということでは決してないのじゃ。

出会いは偶然ではのうて、必然じゃ。そこには意志が存在するのじゃ。大切なのは自ら動くことじゃ。じっとしとっては何も始まらん。さらに、己を磨き、己のいる階層を高めておくことも忘れてはならん。人は己と同じ階層にいる者としか出会えんのじゃ。

より高層に登ろうとする努力なき者に、良い出会いは望むべくもなし!

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