長谷川孝のブログマガジン

【武将】第41話 リーダー教育

唐突じゃが、貴殿はリーダーはどのように生まれると思われる?

戦国という時代は過去の地位や権威に頼っておるだけでは決して生き残れぬ実力主義の時代じゃ。弱肉強食、各地で真の実力者が台頭した。じゃがその者たちを見ると、秀吉殿のようにほんに何も背景のない立場からのし上がった人物は稀での、そのほとんどはいわゆる世襲で家を継いだ者たちじゃ。

つまり、家の大小はさておき、生まれたときから「殿」と呼ばれる立場の者たちだったのじゃ。信長殿しかり、家康殿しかり、信玄殿、政宗殿など皆そうじゃ。

彼らは生まれ持ってリーダーたる責務を負っていたのじゃ。じゃが、生まれ持ってリーダーたる能力をもっていたかと言うとどうじゃろうの。わしはそれはないと思うておる。生まれもってのリーダーたる立場はもっておろうが、能力はもってはおらぬ。能力はその立場(環境)で得られる知識や経験によって育まれるのじゃ。

「殿」と呼ばれながら育つ環境しかり、幼少の頃から教育係がつき、普段の立ち居振る舞いから兵法にいたるまで、みっちりリーダーシップを教え込まれる教育しかり、そうしてリーダー足る人物に育てていくのじゃ。

リーダーは突然変異で生まれるものではのうて、自らの手で、環境をつくり、教育によって育て上げていくものなのじゃ。

そもそもリーダーシップとは、己以外の者と関わって何事かを成すときに必要な能力じゃから、人の世に生きておる限り、すべての者にとって必要なのじゃ。じゃから決して社長、役員、幹部、あるいは中間管理職など、部下を持つ者にのみ必要なものではのうて、たとえ一般社員であっても臨時雇用者であっても人と関わって仕事をしておる以上、リーダーシップは必要なのじゃ。むろん、仕事以外、たとえば家庭においても必要じゃ。

生きておる以上、人に何かを頼む場面は必ずあろう。そのとき、相手にどのように言葉をかけられる?
「これ午前中にやっとけ」と申すこともできる。「こういう理由でこれを午前中に仕上げなくてはならなくて、ついては君に助けて欲しいんだけど」と申すこともできる。

このような日常のモノの言い方ひとつにもリーダーシップの意識は必要なのじゃ。
そしてそれは決して生まれ持っての能力ではなかろうて。

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