長谷川孝のブログマガジン

【武将】第42話 心と身体

近頃は流行病(はやりやまい)に罹る御仁が多いようじゃが、貴殿は大丈夫かの?わしは流行には疎いほうでのぉ。ただ、油断は禁物じゃ。失うて改めて気づくのが健康の有り難さよな。

家康殿74、秀吉殿61、信長殿48、信玄殿52、謙信殿49。これらは何の数だと思われる?

それぞれ天下を狙える実力を持った名将がこの世を去った年齢じゃ。信玄殿、謙信殿は共に若くして病没せなんだら、信長殿を滅ぼし、天下に覇を唱えたやもしれぬ。

信長殿が光秀殿の謀叛にあわず長生きをしておれば、秀吉殿の天下はなかったやもしれぬ。秀吉殿が家康殿より
長生きしておれば、家康殿の天下はなかったやもしれぬ。

「織田がついて羽柴がこねた天下餅を座って食べる徳川」と揶揄されとるように、結局長生きをして最後まで残った家康殿が天下をとったのじゃ。

人が何かことを成すときに欠かせないものがある。それは「健康」じゃ。もちろん健康であれば何でも成せるか、長生きしておれば誰でも天下をとれるか、というとそれは違う。その他の要素も必要じゃ。

されど「健康」であることが事を成すときに重要な要素であることに違いはない。健康というといわゆる病気にならぬ体の丈夫さだけを思い浮かべるやもしれぬが、それだけではない。

体だけではのうて「心身とも」に健康でなければならぬのじゃ。「病は気から」と昔から申すように、そもそも体と心は切り離して考えることができぬものなのじゃ。

心の在り方が体の在り方に表れてくる。怠けたり、だらけたり、いらいらしたり、我慢したり・・・
そのような不健康な心から不健康な体が生まれてくるのじゃ。

病気はある日突然襲ってくる避けがたいもの、というイメージがあるやもしれぬが、決してそうではない。その多くは、日々の蓄積から生じるものなのじゃ。日々の生活態度、日々の心持ち、日々の飲食等、その積み重ねが今日の、明日の自分の体に反映されるのじゃ。

信長殿は心の不健康さの積み重ねから命を失ったと言っても過言ではないじゃろう。一方家康殿は常に己を律することを忘れず、摂生にも努めたそうじゃ。

「健康」も己次第じゃ。

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