長谷川孝のブログマガジン

【武将】第4話 評価

織田信長殿が当時もっとも天下に近いと言われた今川義元殿を打ち破った「桶狭間の戦い」は存じておるかな?

なぜ信長殿は、数倍もの敵に勝利することができたのか。これは一か八かの奇襲が偶然成功したという単純なものではないぞ。

答えは戦後の論功行賞にある。論功行賞というのは、手柄を挙げた部下に褒美を与えることじゃがの、この論功行賞で信長殿が一番手柄として最も高く評価したのは、真っ先に敵陣に駆け入った一番槍ではなく、義元殿を討ち取った剛の者でもない。

誰か。義元殿の居場所を探り、その「情報」を信長殿にもたらした部下だったのじゃ。

それまでの合戦では、総大将を討ち取った者は何をおいても一番手柄とされるのが常識であった。じゃが、信長殿はその常識を打ち破り、情報をもたらした者を最も高く評価したのじゃ。

つまりこの桶狭間は、「情報」によって勝つことができたということを示しているのじゃ。

しかし、ここでわしが言いたいのは「情報は大事」じゃ、ということではない。リーダーたるもの常に情報を得るよう努め、経営に活かさねばならん。そんなことは貴殿も言われなくとも百も承知であろう。

わしがここでもっと大事だと思うことは「評価」じゃ。情報をもたらした者を高く評価したというその事じゃ。信長殿は評価によって織田家が何を大切にしていくかを示したのじゃ。

現代ふうに言えば、リーダーが何を評価するかによって、会社で働く社員の姿勢が決まるということじゃ。

売り上げを上げた者を高く評価すれば、社員は売り上げ重視の姿勢になる。

たとえ売り上げは少なくともお客様からの評判が良い者を高く評価すれば、社員はお客様重視の姿勢になる。

自分を犠牲にしてでも全体のために働く者を高く評価すれば、社員はチームワーク重視の姿勢になる。 リーダーの評価ひとつで会社の風土が決まるのじゃ。職場の中で誰が高く評価されているのか、社員は常に見ているのじゃ。

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