長谷川孝のブログマガジン

【武将】第10話 情と報酬

もう10話目突入じゃ。残りも少なくなってきたわい。いやいやまだ10話目、先は長いか?同じ10話目でも感じ方が異なるから人は面白いのぉ。

さて、本題に入ろうかの。

「部下に対しては、深い情を持って接することと、しっかりと報酬を与えることが大切である。情と報酬は言わば車の両輪、鳥の両翼のようなもので、どちらが欠けてもうまくいかないものである」

これは蒲生氏郷(がもううじさと)殿の言葉じゃ。氏郷殿はわずか13歳のころ、織田信長殿にその素質を買われて娘婿として遇されての。その後、信長殿の見立てどおり、知勇兼備で人望厚い名将としてその名を馳せた人物じゃ。

人の上に立とうとする者は「目に見える」部分と「目に見えない」部分の両方が分かってないといかん。目に見える部分というのは、いわゆるシステムや仕組みといったことじゃ。誰が見ても明らかなように、不透明なところがないようにしておかねばならん。特に人を評価するときの決め事は重要じゃ。評価制度と言うのか?その制度に不透明なところがあると、誰も制度を信用せん。納得せん。そうなれば制度自体が無意味なものとなる。無意味ならまだ良いが、害をなすことも考えられる。そうなってしまわんように、どうすれば自分は評価され、どうすれば評価されないのかを明確にして、誰もが納得できる仕組みを整えておかねばならんのじゃ。

それにの、評価というのはその人物の価値を定めるためのものではのうて、やる気を引き出す役割を担うものであることを忘れぬことじゃ。

ただし、仕組みがしっかり整っておれば、部下は満足でやる気をもって活き活きと働くかというと、決してそうではない。いくら良い仕組みを取り入れたとしても、そこに「心」が通っておらんと、本当にすばらしい組織は創れはせんのじゃ。この「心」こそ、目に見えない部分じゃ。

では、目に見えないのであればどうすれば良いと思われる?

そうじゃ。よく言うところの、心の目で見るようにするのじゃ。つまり「感じる」ことじゃ。目に見えないからこそ、いついかなる時も気にして、感じるように努めておらねばならんのじゃ。 心と仕組み。この両翼が揃って初めて、すばらしい組織として大空に羽ばたくことができるというものじゃ。

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