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【武将】第25話 柔よく剛を制す

いつのまにやらわしの語りも25回目を迎え、半分をすぎてしもうた。時の経つのは早いものよのぉ。今まで飽きもせずお付き合いいただき、感謝申し上げまする。

さて。今日は秀吉殿が信長殿について評した言葉から始めようかの。

秀吉殿曰く「信長公は勇将ではあるが良将ではない。剛をもって柔に勝つことを知ってはおられたが、柔が剛を制することをご存知なかった。一度敵対した者に対しては、その怒りがいつまでも解けず、ことごとくその根を断ち、葉を枯らそうとされた。降伏する者でさえ誅殺するため、敵は絶えることがなかった。これは、人としての器量が狭いからである。人に敬遠されるが、衆からは愛されない」と。

いつの時代も生き残るために必要なことは変化することじゃ。何百年と続くいわゆる老舗と呼ばれるような店や会社は、時代に合わせて変化を重ねてきたから生き残っているのじゃ。じゃが基本的に人は変化が嫌いで安定を求めるものじゃから、業績が良かったり、利益が出ている間は人の意識が変化に向きにくいのも事実じゃ。

もしリーダーとして組織の現状を変えたい、未来を見据えて今のうちから変えていきたいと思うたら、まずは変革に向けて皆の目を覚ますことから始めねばならん。

目が覚める一番の特効薬は危機意識じゃろうな。じゃから今のように不況で不安定で先行き不透明なときこそ人の意識を、組織を変えるチャンスなのじゃ。

寝ている者を起こそうとするときのように、声を大にして訴え続ければやがて人々の意識は変革に向けて動き出すじゃろう。じゃが、その先には必ず抵抗する者が現れるものじゃ。

大事なのはここじゃ。この抵抗に対してリーダーがどう対処するかでその後の成果が変わってくるのじゃ。抵抗する者を邪魔じゃとばかり切り捨てたり、あるいは無理やり力ずくで従わせたりしても人の本気の協力は得られはせん。協力を得られぬ限り、変革は絶対にうまくいかぬ。

ここで大事なのは、人がなぜ変化に抵抗するのかをよく考え、その抵抗の元を理解し、解決するように努めることじゃ。たとえば、現状の心地良い環境から離れたくない、新しいことをして失敗したくない、自分の不利益を心配している、現状で忙しい、など様々あるはずじゃ。

そのような声なき声に心を配り、解決に向けて努力していくことで、やがて協力者が増えてくるのじゃ。

信長殿は信長殿の手による天下統一という大変革を世の中に起こそうとしたわけじゃが、それに納得できぬ者が敵対した。

それを力ずくでねじ伏せ、切り捨てていった結末はご存知のとおりで、結局天下統一という大変革を成し遂げたのは、柔よく剛を制した秀吉殿だったのじゃ。

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