長谷川孝のブログマガジン

【武将】第8話 心には心

釈由美子殿という女優さんを知っておるか?べっぴんさんよのう。ムフフフ・・・おっといかんいかん、つい。

では、豊臣秀吉殿の参謀で天下取りに大いに貢献した蜂須賀正勝(小六)殿という重臣は知っておるか?有名な墨俣一夜城の築城は、小六殿の力がなければ成し得なかったと言われておる。

実は釈殿はの、なんとこの小六殿の末裔らしいのじゃ!いやはや、インド人もびっくりじゃな。ん?喜んでおるのはわしだけか?

まあ良いわの。

さて今回はこの小六殿の子で、阿波一国、今でいう徳島県じゃな、の大名となった蜂須賀家政殿にからむ話じゃ。

徳島と言えば阿波踊りが有名じゃが、阿波の大名になった家政殿が徳島城竣工の折、城下に城完成の祝いとして好きに踊れとお触れを出したことが発祥という説もあるそうじゃ。

その家政殿の孫は苦情が出るほど家臣に対して厳しく接するお方でな。ある時、見かねた家政殿が孫に対して、次のように訓戒を垂れたそうじゃ。

ある宴の席で家政殿は犬を連れて来させた。その犬は家政殿を見るなり尾っぽを巻いて逃げ出した。一方で家政殿は粟を手に取り雀を呼ぶと、雀は群がってそれをついばんだ。

そこで孫を見て言った。

「あの犬は日頃からわしが叩いてばかりいたから逃げたのじゃ。雀は日頃から餌を与えて懐かせていたから集まってきたのじゃ。これは人も同じこと。部下に親しく接すればなつくし、居丈高に威圧的な態度でばかり接していれば、心からは従わないものである」と。

恐怖で人を支配して働かせることは不可能ではない。じゃがその場合、みずから喜んで進んで働くということは決してない。常にイヤイヤ仕事を“こなす”ことに終始するじゃろう。

そこには何の楽しさも創造性も生まれてこん。生まれてくるのは、沈滞した雰囲気とミスばかりじゃろうて。

そんな職場で良い成果をあげられるはずがない。“働かされておる”のではのうて、人は自分の意志で“働きたい”と思わぬ限り、良い仕事はできんものじゃ。したごうて、組織の長たる者は人の意志、つまり心に働きかけることがどうしても必要なのじゃ。

じゃが人の心は雀に餌をやるように、甘い汁を吸わせるだけで掴めるほど簡単なものではない。心には心が必要じゃ。本気の心が必要じゃ。

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