戦国武将に学ぶリーダーシップ

【武将】第30話 利益の質

長野県伊那市にある伊那食品工業という寒天の製造販売をしておられる会社をご存知か?

テレビでも取り上げられておったが、素晴らしい会社じゃの。そしてその素晴らしさはトップの価値観から生まれておることがよく分かるというものじゃ。

トップが何に価値を置いておるかによって、組織の有りようが変わってくるのじゃ。

戦国時代にも己の価値観をもってその価値観にずれることなく一生を貫いた武将がおる。織田信長殿や武田信玄殿をも恐れさせた上杉謙信殿じゃ。軍神と呼ばれる彼の率いる軍団は戦国1,2を争う強さを誇っておったそうじゃ。

長年争ってきた信玄殿がこの世を去ったという知らせを受けたとき、食事をしていた謙信殿は箸を落として泣いたそうじゃ。家臣はここぞとばかり、武田領内に攻め込むよう進言するが、謙信殿は「確かに今攻め込めば、武田家の領地を手にすることができるだろう。しかし、人の弱味につけ込んで攻め込むのはわしの本意ではない」と言ってついに攻め込まなかったそうじゃ。

騙し騙され、親兄弟でさえ殺し合うのが当たり前の戦国時代において、人の道にもとることはしないという「義」を貫く謙信殿はひときわ目立つ存在だったことじゃろう。それが上杉家に他とは違う誇りと自信、そして何よりトップへの信頼を生み、そこからやる気と団結力が育まれ、ほとんど負け知らずの軍団が形成されていったのではないかの。

さらに内だけではのうて、外からも信頼を得た謙信殿は、幕府の要職(関東管領)を頼みもせんのに譲り受けたり、信玄殿に「我が亡き後は謙信を頼れ」と言わしめたりもしたのじゃ。戦国の世でもっとも信頼できるのは上杉謙信殿であると、敵にさえ思われていたのじゃ。

とにかく謙信殿は「義」に基づいて行動を決したのじゃ。たとえそれが己の利益につながることじゃと分かっておっても、「義」に反することは一切せんのじゃ。

その信念こそが内外問わず信頼を生み、強い組織をつくった力の源ではないかの。

会社が存続するには利益が必要じゃ。しかし利益よりもっと大事なものがあることを忘れてはならん。

信頼じゃ。

社員にも顧客にも信頼される会社でないと、今現在、いくら利益があっても存続はできん。いずれ破綻しよう。

商品やサービスは量より質が大事と言われて久しいが、利益も同じじゃ。この先生き残るには利益も量より質を大事にすることが必要なのじゃ。

「利益はウンチのようなもの」とは先の伊那食品工業、塚越会長の言葉じゃ。貴殿はどう理解されるかの。

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