日本という国は四季折々の自然を楽しめる、ほんに良い国じゃと思われぬか?梅雨も然りじゃ。雨降りは鬱陶しいと思われるかもしれぬが、視点を変えれば雨の中にも様々な風情があることに気付くじゃろう。何事も楽しむ心の余裕を持ちたいものじゃなぁ。
のちに毛利氏によって滅ぼされてしまうが、一時は中国地方の雄として名を馳せた尼子氏という勢力があった。その尼子氏に仕え、毛利氏を苦しめた、巷間、尼子十勇士と尊称される精鋭の筆頭に、山中鹿之助という知勇兼備の武将がおった。
鹿之助殿は常に、「我に七難八苦を与えたまえ」と神に祈っておったという話じゃ。ある者がそのわけを尋ねると、「我が心でありながら、何か事に出会って試してみぬと、己の器量のほどが分からぬので、事に会って我が心を試したいと思っているからだ」と答えたそうじゃ。
複雑で流れの速い今の時代、現場で働く一人ひとりが己の意思で判断をして行動に移すことができないようでは、お客様の満足を得ることは難しいじゃろう。
されど、何もせずに現場にそれを期待するのは酷というものじゃ。やはり適切な教えを施し、人を育てていかねばならん。あるいは動機付けたり、権限を与えることも必要じゃろう。己が求める人材は、学ぶ環境を整えて、己で育てていかねばならんのじゃ。
人が物事を学ぶには、理論・理屈を頭で学ぶいわゆる座学と、実際の体験から五感で学ぶ実習とがある。どちらも大切な学習方法であることに変わりはないが、最も効果的な学習は、この両方を車の両輪のように回すことじゃ。学んだことを「頭」で理解して学ぶだけでなく、実践してその体験を通じて「腹」で理解してこそ本当に学んだことになるのじゃ。
鹿之助殿が言うように、何ごともその状況になってみんと本当の姿というのは分からぬものじゃ。百聞は一“験”に如かず。頭だけで考えておっては何もつかむことはできぬ。頭の次には行動あるのみじゃ。知行合一。頭と行動は常に表裏一体。成功も失敗も行動せんと生まれてこぬ。それがないと新たな「頭」も生まれてこんのじゃ。